【最大1人75万円!】130万円の壁を乗り越える助成金「短時間労働者労働時間延長支援コース」活用のススメ

パートやアルバイトが社会保険料の負担を避けるために労働時間を調整する「年収の壁」。昨今の人手不足の中、働きたい意欲のあるスタッフが就業時間をセーブしてしまうことは、企業にとって大きな痛手です。
こうした働き控え、特に「130万円の壁」を解消する強力な後押しとして、2025年7月にキャリアアップ助成金の「短時間労働者労働時間延長支援コース」が新設されました。本コラムでは、新コースの概要や助成額、活用するためのポイントを解説します。


「130万円の壁」対策に特化した手厚い支援

従来の助成金にも社会保険適用を支援するコースはありましたが、主に「106万円の壁」への対応を想定したものでした。今回新設された本コースは、配偶者の扶養内で働く従業員が直面しやすい「130万円の壁」への対応策として位置づけられています。
労働時間の延長と賃金増額を組み合わせることで、従業員の手取り収入を減らさずに社会保険へ加入させる仕組みです。企業にとっては、既存の優秀なスタッフに長く働いてもらうことで、新たな採用コストをかけずに人手不足を緩和できる大きなメリットがあります。


1人あたり最大75万円!制度の要件と助成額

本コースの魅力は、その手厚い助成額です。取り組みは1年目と2年目の2段階で設計されており、両方を実施すると小規模企業(従業員30人以下を常態とする事業主)の場合、労働者1人あたり最大75万円(1年目50万円、2年目25万円)を受給できます。しかも1年度あたりの対象人数に上限はないため、複数名に適用してまとまった助成金を受け取ることも可能です。

主な取り組み要件は以下の通りです。
1年目の取り組み:週所定労働時間を「5時間以上延長」、または「2時間以上5時間未満の延長に加え、基本給を5〜15%以上増額」した上で、新たに社会保険に加入させる。
2年目の取り組み:1年目の措置後、さらに「週所定労働時間を2時間以上延長」「基本給を5%以上増額」「昇給等の制度を新たに適用」のいずれかを実施する。

企業規模(小規模・中小・大企業)によって受給額は異なりますが、従業員の希望する働き方や人件費のバランスを考慮しながら、段階的な処遇改善を進められる仕組みになっています。


申請手続きで失敗しないためのポイント

助成金を確実に受給するためには、スケジュール管理が極めて重要です。最も注意すべきは、「キャリアアップ計画書」の事前提出です。労働時間を延長し、社会保険に加入させる日の「前日」までに管轄の労働局へ計画書を提出していなければ、その後の取り組みをどれほど正確に行っても助成対象外となってしまいます。
また、社会保険加入後は、延長後の労働条件に基づいて6か月間継続して賃金を支給し、その実績を証明する必要があります。タイムカードの打刻と賃金台帳の記録に乖離がないよう、日々の勤怠管理や正確な給与計算を行う社内体制の整備が不可欠です。


まとめ:労使双方にメリットのある制度を活用しよう

「短時間労働者労働時間延長支援コース」は、従業員にとっては収入増や社会保障の充実をもたらし、企業にとっては即戦力人材の稼働時間増加と定着率向上をもたらす、労使双方にとって「Win-Win」の制度です。
「もっと働きたいけれど、壁が気になってシフトに入れない」というスタッフを抱える企業は、ぜひ本コースの活用を検討してみてはいかがでしょうか。要件の解釈や手続きが複雑な部分もあるため、確実な受給を目指すのであれば社会保険労務士法人かぜよみへお気軽にお問い合わせください。



※本記事の記載内容は、2026年10月現在の法令・情報等に基づいています。