親の介護は、突然やってくる。管理職・中核人材の離職を防ぐために会社がすべきこと

従業員の離職理由として、近年ますます無視できなくなっているのが「家族の介護」です。育児と違い、介護はある日突然始まることが多く、本人も会社も準備ができないまま、欠勤・遅刻・早退が増え、最終的に退職を選ばざるを得ないケースがあります。
本日は、企業の持続的な成長において避けて通れない「介護離職対策」についてお伝えします。
管理職の離職が招く大損失
ここで見過ごせない事実は、介護に直面しやすい40代後半から50代が、組織の意思決定を担う管理職や、高度な専門スキルを持つ中核人材と重なりやすい点です。長年培ったノウハウや顧客との関係性を持つ人材を失うことは、採用コストや教育コストだけでは測れない大きな損失です。また、「あの優秀な上司ですら両立できずに辞めた」という事実は、若手・中堅社員にも将来への不安を与え、組織全体のエンゲージメント低下につながりかねません。

介護休業の「本来の目的」を周知する
実務上、特に周知しておきたいのが、介護休業の本来の目的です。
介護休業は「自分が直接介護をするためだけの休み」と誤解されがちですが、本来は、仕事と介護を両立するための体制を整える期間と考えるべきです。
たとえば、以下のような活動を行う期間です。
・デイサービスやショートステイなど介護保険サービスの選定、施設利用の準備
・手すりの設置やバリアフリー化といった住環境の整備
・本人の年金・資産を踏まえた費用面の確認
従業員本人がすべてを抱え込むのではなく、専門職や外部サービスの力を借りながら、仕事を続けられる形をつくることが重要です。
会社としてのメッセージと体制整備
会社としては、まず「介護が始まっても、すぐに退職を考えなくてよい」というメッセージを発信することが大切です。そのうえで、介護休業・介護休暇・時間単位の年休・時差出勤・テレワークなど、使える制度を分かりやすく整理し、相談窓口を明確にしておく必要があります。
制度が就業規則に書いてあるだけでは、従業員は使えません。社内で周知し、管理職が基本的な内容を理解していることが重要です。
まとめ
介護離職対策は、単なる福利厚生ではありません。人材流出を防ぎ、経験ある社員に長く活躍してもらうための経営課題です。
社会保険労務士法人かぜよみでは、介護休業・介護休暇に関する就業規則の整備だけでなく、会社の実態に合わせた運用ルールづくりや、従業員への周知方法のご相談もお受けしています。お気軽にお問い合わせください。
※本記事の記載内容は、2026年5月現在の法令・情報等に基づいています。
