「2025年問題」と「ビジネスケアラー」 介護離職を防ぐには?

2025年問題とは、日本の人口構造の変化によって引き起こされる、医療、介護、労働力などの様々な社会問題の総称です。
具体的には、1947年から1949年の第一次ベビーブームに生まれた「団塊の世代」が2025年には後期高齢者(75歳以上)となることで、医療や介護の需要が急増し、社会保障費の増大、労働力不足などが深刻化することが懸念されています。
2025年問題により、介護が必要な高齢者が増加することで、働きながら家族の介護を行うビジネスケアラーの数も増加すると予測されています。
今回は、2025年問題が与える影響や企業が取り組むべき対策について解説いたします。

 

2025年問題とビジネスケアラーの関連性

介護ニーズの増加

高齢者人口の増加に伴い、介護が必要な人が増加し、ビジネスケアラーとなる人が増えます。

労働力不足の深刻化

ビジネスケアラーは、仕事と介護の両立に悩むことが多く、介護離職を選択する人も少なくありません。これにより、企業の人材不足がさらに深刻化します。

企業の生産性低下

ビジネスケアラーは、心身ともに疲弊しやすく、仕事のパフォーマンスが低下する可能性があります。また、介護離職による人材の流出も、企業の生産性低下につながります。


 

介護離職を防ぐために企業が取り組むべき対策

介護と仕事の両立支援

介護休業や介護休暇の制度を充実させる、柔軟な働き方を導入する、介護に関する相談窓口を設置するなどが重要です。

従業員の健康管理

従業員の心身の健康状態を把握し、適切なサポートを行う、ストレスチェックやメンタルヘルス相談を導入するなどが求められます。

職場環境の改善

従業員同士が助け合えるような風土づくりをする、上司が部下の状況を理解し、配慮することが大切です。

テクノロジーの活用

介護に関する情報を共有できるアプリや、介護サービスを提供する企業との連携で、業務の効率化を目指します。企業は、ビジネスケアラーが働きやすい環境を整備することで、人材の確保や生産性の向上につなげることができます。また、従業員が安心して働ける環境は、企業の社会的評価を高めることにもつながります。

 

おわりに

2025年4月の育児・介護休業法改正により、企業には仕事と介護を両立できる柔軟な働き方を実現するため、様々な措置を講ずることが今後求められます。
これに伴い、介護が必要な家族を持つ労働者が、仕事を続けながら安心して介護に取り組める環境整備が、より一層必要となってきます。

社会保険労務士かぜよみでは、育児・介護休業法改正に伴う就業規則の変更や介護休業に関する助成金についてのご相談を承ります。ぜひお気軽にご相談ください。

 
※本記事の記載内容は、2025年3月現在の法令・情報等に基づいています。