「住宅手当」と「社宅手当」はどちらの方がメリットがあるの?

厚生労働省が公表している「令和2年就労条件総合調査」によると、全企業のうち47.2%の企業が、住宅に関する手当を社員へ支給しています。
従業員1000人以上の大手企業では61.7%、従業員数30~99人の中小企業でも43.0%が住宅手当を支給しているのが現状です。現在は住宅手当を支給していなくても、将来的に導入を検討している企業様も多いのではないでしょうか。

この記事では「住宅手当、社宅制度それぞれのメリット」について詳しく解説します。

住宅手当と社宅の違いは?

まず住宅手当は、従業員が住居を直接借りている場合に、その一部として会社が手当として補助する制度のことです。住居の賃貸契約はあくまで第三者と従業員の間で結びます。

対して、社宅は会社が従業員に準備した住居になりますが、会社が所有している物件を社宅にする場合と、第三者が所有している物件を会社が借り上げて社宅にする場合があります。社宅の家賃は一旦会社が全額支払い、一部を給料から天引きの形で従業員が負担します。

住宅手当も社宅も福利厚生の1つですが、優秀な人材の確保や従業員のモチベーションアップ等の効果があります。

それでは、それぞれのメリットについて説明致します。

 

それぞれのメリット

【 住宅手当 】
・社宅に比べて手間がかからない
社宅の場合は、貸主と契約したり従業員の入居や退居の手続きを行ったりと手間がかかります。家賃補助の場合は、給料に手当として上乗せして支払うだけなので、手間が少なくて済みます。

・従業員が住みたい家に住める
従業員の中には、プライベートを大事にしたいと考えている人や、自分で住む場所を決めたいという人もいます。会社所有の社宅の場合には、社宅よりも家賃手当が好まれます。

【 社宅 】
・費用負担が一定以上であれば収入とはならない
社宅制度は、自己負担家賃も給与天引きとなり、ご自身で家賃を支払う必要もありません。加えて、給与の総支給額は変わらず、一定以内の負担額であれば、保険料・税金が高くなることもありません。

住宅手当は、会社が家賃補助として手当を支給してくれるので、給与の総支給額が高くなります。そのため、社会保険料・雇用保険料・税金に影響を与えます。保険料と税金が高くなるということは、『手取額』が少なくなるということです。

 

具体例

(例)給与は30万円/月という社員の場合で、家賃が8万円/月(会社負担が4万円、自己負担金は4万円)、扶養なしという条件とします。(福岡県で計算)
住宅手当

社宅制度

その差額は、7,510円にもなります。

 

まとめ

金銭的な面だけで言えば社宅制度のほうがメリットはありますが、会社としては、社宅契約や管理等、様々な手続きの手間も発生します。それぞれのメリット、デメリットを踏まえてご検討いただければ幸いです。

ご不明な点がありましたら、社労士法人かぜよみまでお問い合わせください。

参考:令和2年就労条件総合調査 結果の概要

 
※本記事の記載内容は、2022年12月現在の法令・情報等に基づいています。