知っておきたい!就業規則の基礎知識
「就業規則」の言葉は聞いたことあるけれど、良く分からない…、過去に作成してそのまま…という事業所様もあるかと思います。今回は就業規則がどのようなものか、必要な内容や意味など、就業規則の基礎知識や必要性について、改めてご説明致します。
就業規則とは?
就業規則とは、従業員の賃金や労働時間、休日等の労働条件、会社における規律等を定めた統一的なルールブックです。就業規則の内容が合理的であり、従業員に周知されていれば、その就業規則の内容が労働条件となります。(労働契約法第7条)
作成・届出義務は?
「事業場単位で、常時10人以上の労働者を使用する場合」に就業規則の作成し、労働基準監督署長への届け出ることが義務づけられています。(労働基準法89条)
事業場とは、工場や事務所、店舗等を指します。全従業員は30名いるけれど、各店舗には7,8名しかいないという場合、事業場単位で10名未満というカウントになります。また常時10名には正社員だけでなくパートアルバイトを含みます。
従業員数10人未満の場合、就業規則の作成義務はありません。ただし就業規則が無いので労使トラブルに対応できない、といったリスクがあります。(例えば、問題行動を起こす社員がいた場合、就業規則(懲戒規定)がなれば懲戒処分を科すことはできません。)
就業規則の周知とその方法
就業規則の効力は従業員に周知されて初めて発生します。その為、就業規則の作成はしたものの社長の鍵付きデスクしまったまま…では、就業規則としての役割を果たせません。就業規則の周知方法は、労働基準法により下記の様に定められています。
①常時各作業場の見やすい場所へ掲示し、又は備え付けること
②書面を労働者に交付すること
③磁気テープ、磁気ディスク、その他これらに準ずる物に記録し、かつ、各作業場に労働者が当該記録の内容を確認できる機器を設置すること
②の書面交付は、社内管理上お勧めできませんので、休憩室など従業員が手に取れる場所への設置や、社内イントラネットへの掲示等による周知が良いでしょう。
就業規則に記載する内容
就業規則に記載する内容には、必ず記載しなければならない事項(絶対的必要記載事項)と、当該事業場で定めをする場合に記載しなければならない事項(相対的必要記載事)があります(労働基準法第89条)
労働基準法で定められている上記の事項以外にも、退職や有給申請時における細かいトラブル対応の為の申請規定、社内ルール違反や不正行為があった従業員に対応するための服務規定や懲戒規定、メンタル不調その他私傷病による休業に対応するための休職規定等は、細かく定めておく方が良いでしょう。
就業規則の法改正への対応
近年の主な労働法改正内容は下記です。
<近年の主な法改正>
・2019年 有休取得5日取得義務
・2021年 子の看護休暇・介護休暇時間単位取得可
・2022年 育児介護休業法の改正(雇用環境整備、産後パパ育休、育休分割取得等)
パワハラ防止の義務化
・2023年 時間外労働60時間超えの割増賃金率の改定
助成金申請時に、最新の法改正へ対応した就業規則の提出が求められることがあります。対応状況をご確認ください。
最後に
就業規則は、従業員の労働条件明示、会社ルールの明確化、労使トラブル回避等の役割を持つとともに、会社と従業員の信頼関係に基づく職場秩序の維持や事業発展にも寄与します。
今ではインターネットにモデル就業規則が多数存在していますが、自社に当てはまらない内容であったり、法改正をタイムリーに反映していない内容であったりすることが多く、従業員とのトラブルや監督署の調査など、「いざという時」に何の役にも立たないケースが発生しかねません。
就業規則の作成・改定を検討の事業所様、就業規則作成本数700件以上のノウハウのある社会保険労務士法人かぜよみまで、お気軽にご相談下さい。
※本記事の記載内容は、2024年3月現在の法令・情報等に基づいています