コロナやインフルエンザによる出勤停止や欠勤は有給?無給?

令和5年5月8日から新型コロナウイルス感染症の位置づけが、季節性インフルエンザと同じ5類感染症に変更され、陽性者や濃厚接触者の外出自粛が求められなくなるなど対応が変わりました。実務上、コロナやインフルエンザにかかった従業員の方の勤怠の取り扱いについて、お問い合わせをいただく機会が多いため、事例に沿って解説をします。

 

事例1:従業員からコロナやインフルエンザにかかったため「お休みしたい」と申し出があった場合

原則:欠勤扱い
例外:①事業所の就業規則に病気休暇などの特別休暇の取り扱いがある場合は、その取り扱いによって無給・有給の扱いとする ②従業員の方からの申請があれば、保有している年次有給休暇を使用し、有給の扱い。

 

事例2:事業所からお休みをしてもらった(出勤停止を命じた)場合

原則:休業手当(平均賃金の60%以上)の支払いが必要
例外:①新型インフルエンザや鳥インフルエンザに感染した場合は法律で就業が禁止されているため、無給扱い。出勤停止は法律上当然の取り扱い。
②医師の「労務不能」である旨の診断書がある場合は、客観的に労務の提供が不能であるため、無給扱い。
③医師の診断書がないが明らかに体調不良の状態で出勤してきた場合は、債務の本旨に沿った労務提供とはいえないことや、使用者の安全配慮義務により労働者を就労させてはならないことを根拠に、無給扱い。  

※労務の提供ができる、できないで意見の対立がある場合には、医師に診断書を書いてもらう対応が良いでしょう。


 

まとめ

コロナやインフルエンザによる欠勤や出勤停止の取り扱いの原則的な考え方をお伝えしてきましたが、職種や業種によってはプロフェッショナルな責任と倫理観で、事業主側から働きかけをせずに、自主的に従業員の方にお休みをしていただけるようにお願いをすることも今後増えてくると予想されます。従業員の方に自身の健康と周囲の安全を最優先に考えることを理解してもらうことが重要です。適切な代替案の提案や、公的なサポート(傷病手当金など)を利用し、安心して休暇をとることができる環境を整えていきましょう。