労災保険の特別加入制度
労災保険は業務上の事由又は通勤による労働者の負傷、疾病、障害、死亡等に対して保険給付を行う制度であり、労働者を雇い入れた場合は加入が義務付けられております。あくまで対象は労働者であり、事業主やその他の役員(中小事業主等)は補償の対象となりません。
今回は中小事業主等の労災特別加入制度について説明します。
労災特別加入制度とは?
前述したとおり、労災保険は中小事業主等には適用されません。しかし、中小事業主等も一般の労働者と同様の業務に従事する場合には、同じような業務災害や通勤災害を被る可能性がございます。そこで、中小事業主等も労災保険へ任意に加入できる「特別加入制度」というものがあり、他の社会保険制度にはない、労災保険法特有の制度です。
特別加入者の種類は、第一種特別加入者(中小事業主等)、第二種特別加入者(一人親方等、特定作業従事者)、第三種特別加入者(海外派遣者)の3種類があります。本日は、第一種特別加入者を中心にご説明させていただきます。
特別加入をするためには以下の要件を満たすことが必要です。
②上記①の事務処理を労働保険事務組合に委託していること
③事業主が(労働保険事務組合を通じて)申請し、政府の承認を受けること
(労働者災害補償保険法第34条、平15基発05200002号より)
※労働保険事務組合とは事業主等の委託を受けて、当該事業主等が行うべき労働保険事務を処理することを目的として、厚生労働大臣の認可を受けたものをいいます。弊所も認可を受けております。
保険料について
特別加入者の労災保険料につきましては、賃金で算定することが不可能なため、16階級ある給付基礎日額の金額を加入申請時に選んでいただきます。(3,500円~25,000円)その希望する額に基づいて都道府県労働局長が決定した額が特別加入者の給付基礎日額となり、その額が保険料算定の基礎となります。
【給付基礎日額3,500円の場合の年間保険料(医科歯科)】
3,500円✕365日=1,277,500円(年額)
1,277千円✕3/1,000=3,831円(年間保険料)
※業種により保険料率が異なるため、年間保険料は異なります。
最後に
特別加入制度は任意加入制度ですが、災害が起こってからは遡及加入はできません。特別加入の認可が下りるのは、最短で申請書提出日の翌日となります。業務上・通勤上の災害に備えて、加入することを検討してみてもよろしいのではないかと存じます。
前述したとおり、弊所も労働保険事務組合の認可をいただいております。
ご不明な点がございましたら、かぜよみまでお気軽にご相談ください。
※本記事の記載内容は、2024年7月現在の法令・情報等に基づいています。