【最低賃金】47都道府県で1,000円超え!今すべき対応を解説します

最低賃金の引き上げ額について、令和7年度の目安が全都道府県で63円~64円と発表されました。目安どおりに引き上げられた場合、全都道府県で最低賃金が1,000円超えることになり、全国加重平均は1,118円、引き上げ率は6%となります。

今後はこの目安を参考にしつつ、都道府県ごとに実際の引き上げ額が決定されていきますが、九州では、福岡県1,057円(65円引き上げ)、佐賀県1,030円(74円引き上げ)、宮崎県1,023円(71円引き上げ)が8月28日時点で答申されています。全国では、秋田県で951円から1,031円へ80円の引き上げなど、目安を大幅に上回る引き上げ額が示されている県もあります。

ただし、改定後の最低賃金は、例年は10月中に適用開始されるのが一般的ですが、大幅な引き上げ幅となることをふまえて、秋田では令和8年3月31日、群馬では令和8年3月1日、岡山では令和7年12月1日など、例年よりも遅れる県も続出しています。

最低賃金以上の給与を支給することは、法律で定められた使用者の義務です。最低賃金を下回っている場合には、最低賃金法によって罰則が定められていますので、今回は、大幅な最低賃金引き上げへの対応について解説していきます。


 

最低賃金の計算方法

従業員が時給制の場合は、単純に時給を最低賃金以上の金額に改定すればよいのですが、月給制の場合は、月給を時給に換算した上で最低賃金以上の金額であるかどうかを判断する必要がありますので、少々複雑です。
月給の時給換算額は、下記の手順で計算します。


有給休暇取得日は年間休日数に含まれません


月火木金が8時間、水土が4時間で週40時間という所定労働時間の場合、1日平均所定労働時間は、40時間÷6日=6時間40分となります。



 

最低賃金の対象になる/対象にならない賃金とは?

賃金には「最低賃金の対象になる賃金と、対象にならない賃金」があります。
毎年昇給して、月額ではそれなりの賃金を支払っているのに、最低賃金の対象にならない賃金ばかりを昇給させていたために、最低賃金を下回っているというケースがあります。賞与や退職金などの基準額を抑えたいために、基本給以外ばかりを昇給されている場合は要注意です。

また、似たようなもので「割増賃金の基礎に含めなければならない賃金と、除外できる賃金」があります。こちらも、基本給だけで残業代を計算していたために、他の手当に対する割増賃金が未払になっているというケースがありますので、注意が必要です。



 

最低賃金引き上げへの対応

最低賃金以上の金額に昇給を行うというのが理想だと思いますが、特にここ数年は大幅な引き上げが続いていますので、最低賃金の対象にならない賃金を支給している場合には、最低賃金の対象となる賃金へ移行するという方法も考えられます。
(例:皆勤手当を廃止して基本給に移行する、固定残業手当の金額を減額して基本給に移行する、など)

 
【出展参考】
厚生労働省
https://www.mhlw.go.jp/stf/newpage_60788.html

 
※本記事の記載内容は、2025年8月現在の法令・情報等に基づいています。