【2025年度】算定基礎届とは?対象者や注意点を解説

算定基礎届は、社会保険の手続きに必要となる書類です。事業所は毎年、日本年金機構に提出しなければなりません。
従業員の厚生年金保険料や健康保険料は、給与の額に応じて決まります。しかし、毎月の給与に応じて、金額が変動するわけではありません。一定期間中の給与額などの平均を等級ごとに区切った、標準報酬月額にもとづいて決定します。標準報酬月額の等級は、都道府県ごとに1~50等級、厚生年金保険では1〜32等級で区分されています。
今回は標準報酬月額の計算方法や算定基礎届の対象者について解説していきます。
標準報酬月額の計算方法
社会保険では、被保険者に支給されている給与と標準報酬月額との間に大きな差が生じないように、原則全被保険者について、4月・5月・6月に支給された給与に基づく報酬月額を算定基礎届により届出し、毎年1回標準報酬月額を決定し直します(定時決定/算定基礎)。算定基礎により決定し直された標準報酬月額は、9月から翌年8月までの各月に適用されます。
算定基礎届の対象者
算定基礎届を提出する対象者は、原則として7月1日時点で雇用されていて、社会保険に加入しているすべての従業員ですが、一部例外や注意点があります。算定基礎届提出の対象となる人、ならない人について、詳しく解説いたします。
算定基礎届提出の対象となる人
算定基礎届提出の対象者は、7月1日時点で厚生年金や健康保険の被保険者になっている従業員です。
正社員だけでなく、アルバイトやパートなども該当します。また、育児休業や介護休業を取得している人に加え、傷病により休職している人なども社会保険の被保険者であれば対象となります。
なお、70歳以上の従業員については、厚生年金保険に加入していなかったとしても算定基礎届を提出しなければなりません。
算定基礎届提出の対象とならない人
下記のいずれかに該当する人は、算定基礎届提出の対象とならない人です。日本年金機構から送られてきた算定基礎届の用紙に、該当する従業員が印字されていなかったとしても、書き加える必要はありません。
■6月30日までに退職した従業員
6月30日までに退職した従業員は、算定基礎届の対象外です。該当の従業員が算定基礎届に印字されていても、給与額などを記載する必要はありません。
■6月1日以降に被保険者となった従業員
6月1日以降に被保険者になった従業員も、算定基礎届の提出が不要です。社会保険の資格取得手続きを行う際に、翌年8月までの標準報酬月額が決定しているためです。
■7月改定の月額変更届を提出する従業員
4月に固定的賃金が変動した従業員は、算定基礎届提出の必要はありません。この場合、7月改定の月額変更届を提出することになります。
■8月または9月に随時改定が予定されている従業員
8月または9月の随時改定に該当する場合には、随時改定が優先されます。そのため、算定基礎届を提出する必要はありませんが、月額変更届の提出が必要です。
さいごに
2025年度(令和7年度)の算定基礎届に関する情報が、日本年金機構から公開されました。算定基礎届を作成する際に確認しておきたい「算定基礎届の記入・提出ガイドブック(令和7年度)」の他、記入するために必要な基本的な事項から具体的事例、提出方法等について説明した動画が公開されています。
算定基礎届の様式等は6月中旬より順次送付されます。事前に内容を確認しておくことで、よりスムーズに手続きを進めることができます。
以下のリンクより、必要な様式や記入例をご確認いただけますので、ぜひご覧ください。
↓算定基礎届の記入・提出ガイドブック(令和7年度)
https://roumu.com/archives/127811.html
↓算定基礎届事務説明【動画】
https://www.nenkin.go.jp/service/doga/doga_kounen/santeisetsumei.html
ご不明な点がございましたら、社会保険労務士法人かぜよみまでお気軽にご相談ください。
※本記事の記載内容は、2025年6月現在の法令・情報等に基づいています