【2025(令和7)年】育児・介護休業法改正
育児・介護休業法(以下「育介法」)の一部を改正する法律が2025(令和7)年4月1日と同年10月1日にそれぞれ施行されます。
少子高齢化の日本において、労働力の確保は喫緊の課題であり、出産や育児あるいは介護を理由とした離職を可能な限り防止する方策を検討することは重要な観点です。
そこで育介法は、特に男性労働者が育児休業を取りやすい環境整備その他柔軟な休業取得等に向け、2022(令和4)年4月から3段階で改正がなされました。
これに続き、「子の年齢に応じた柔軟な働き方を実現するための措置の拡充」や「介護離職防止のための仕事と介護の両立支援制度の強化」等を念頭に行われるのが今回の改正です。
今回は、2025年に改正される育児・介護休業法について解説いたします。
改正内容
具体的な改正内容は下記の通りです。
https://www.mhlw.go.jp/content/11900000/001259367.pdf
今回は上記サイトの付番に沿って2025年4月1日施行のうち①②⑥⑦⑧に焦点を当てていきたいと思います。
①子の看護休暇の見直し
多くの会社は当該休暇については「無給」としているため、労働者からの申し出自体が少なく、活用事例は決して多くないのが実情です。今回の改正により対象となる子の範囲や取得事由などの拡大が図られることで、年次有給休暇を使い切っているような場合は「正当な権利」として活用される場面が多くなることが期待されます。
【必要な対応】
・就業規則の改正
名称が「子の看護“等”休暇」へ変更されることを含め、改正内容を就業規則へ反映させる必要があります。また、労使協定により「継続して雇用された期間が6ヶ月未満の労働者」を本休暇取得対象から除外している場合は、労使協定の見直しも必要です。
②所定外労働の制限(残業免除)の対象拡大
本申し出があった場合、当該労働者との労働契約上の始業と終業時間(所定労働時間)以外での労働を免除することを指します。
【必要な対応】
・就業規則の改正
対象となる子の範囲が「3歳に満たない子」から「小学校就学始期に達するまでの子」に拡大されるので就業規則上もその年齢への改正が必要です。なお、「介護」のための所定外労働の制限には変更はありません。
⑥介護休暇を取得できる労働者の要件緩和
【必要な対応】
①の子の看護等休暇と同様に、労使協定により「継続して雇用された期間が6ヶ月未満の労働者」を本休暇取得対象から除外している場合は、労使協定の見直しと就業規則の改正が必要です。
⑦介護離職防止のための雇用環境整備
【必要な対応】
R7.4.1以降、羅列されている①~④のうちいずれかの措置を講じる必要があります。(改正指針では、可能な限り複数の措置を行うことが望ましいとされています)
すでに、育児休業に関しては同様の措置が義務付けられていますので、②を実施する場合は、育児休業の相談窓口との兼用など検討の上、体制整備を図っていきたいところです。
② 介護休業・介護両立支援制度等に関する相談体制の整備(相談窓口設置)
③ 自社の労働者の介護休業取得・介護両立支援制度等の利用の事例の収集・提供
④ 自社の労働者へ介護休業・介護両立支援制度等の利用促進に関する方針の周知
⑧介護離職防止のための個別の周知・意向の確認等
【必要な対応】
R7.4.1以降は対象家族(配偶者・父母・子・配偶者の父母・祖父母・兄弟姉妹)が要介護状態にあるなど介護に直面したとの申し出があった場合は介護休業や両立支援制度等について個別の周知と制度利用の意向についての確認が必要となります。
個別周知・意向確認の方法について、FAXと電子メール等は本人が希望した場合に限ります。
また、労働者が40歳に達した場合は、介護休業等の制度利用の必要性の有無や程度等にかかわらず、該当(40歳に達した)者全員に対して情報提供期間内に情報提供事項を所定の方法により行うことが義務付けられます。前段の個別周知と異なり、労働者の希望にかかわらずFAXや電子メール等による方法が可能ですので、対象人員が多い場合は予め所定の文書を作成のうえ、メールによる一斉送付が効率的です。
さいごに
以上が2025(令和7)年4月1日までに対応が必要な内容の抜粋です。
改正項目は多岐にわたっておりますので、早めの体制整備や就業規則改定などの検討が必要です。不明点等は当社までお申し付けください。
※本記事の記載内容は、2024年12月現在の法令・情報等に基づいています。